不正咬合の種類
もくじ
叢生(そうせい)
歯が何本か重なっている状態。
前歯と奥歯で対処法が違います。
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■ 子供の場合、とくに小学校低学年でしたら、前歯に限定されますので、簡単に対処できます。
拡大装置で歯列を拡大してあげれば、治ります。 -
■ 大人でも、前歯に、叢生が限定されていれば、子供同様、比較的簡単に(もちろん歯を抜かずに)対処できます。
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■ 小学校高学年以上、または、大人で奥歯(臼歯部)に叢生がある場合は、少し手間がかかりますが、(矯正装置が複数個必要)床矯正では、歯を抜かずに対処していきます。
八重歯(やえば)
八重歯とは、犬歯が叢生により、飛び出している状態のことを言います。
上の歯の場合、犬歯が最後に生え変わるので、生える場所が無くなっている場合、外側に飛び出してしまうのです。
前歯が生え変わるとき、一見、4本の前歯が並んでいるようでも、子供の歯(乳歯)の犬歯(乳犬歯)も抜けてしまっているならば、犬歯の生える場所は無くなって、八重歯になります。ここが重要です。
小学校高学年になり、犬歯が八重歯になってびっくりしてしまう方もいらっしゃいますが、犬歯が八重歯になるかどうかは、小学校低学年のうちに十分予測はつきますので、早めの相談をお勧めします。
そして、犬歯が生えてくる前のほうが、矯正治療は楽になります。
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■ 八重歯の治療は叢生と原則的には同じですが、少し手間がかかります。
子供(小学校5、6年以上)も大人も複数の矯正装置を使用する、ほぼ同様の治療になります。また、八重歯の程度が著しい場合や、大人の場合は固定式のワイヤー、ブラケット装置をお勧めすることもあります。
上顎前突(じょうがくぜんとつ)※出っ歯
上の前歯は前に飛び出している状態ですが、実際は上あごの骨の成長が悪く、前歯が前に傾斜している状態で、さらには、下あごが後ろに後退し、ますます上の前歯が飛び出しているように見える場合が多いです。
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■ 子供(小学校低学年)の場合は比較的、矯正治療は簡単です。
上あごを拡大し、さらにご本人によく食べ物を噛む習慣を身につけてもらい、上あごの健全な成長発育を目指します。“食べ物を良く噛む習慣”がとにかく大事です。
取り組むご本人次第ということもありますが、しっかり“噛んで”もらえば、きれいな歯並びになっていきます。 -
■ 小学校高学年のお子さんは、矯正治療の際に“噛む習慣”だけでなく、“姿勢に気をつける!”(猫背にならないように)ことも大切です
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■ 中、高校生、大人の場合
最近の子供たちは、ゲーム、スマホなどで、小さい画面を長時間覗き込んで姿勢が悪くなりがちです。
噛む習慣、姿勢に気をつける、これらを頑張っていただければ、矯正治療に効果もでます。 -
■ 大人の場合、一般的に体力が無くなっていくと姿勢も悪くなり、下あごも後退し、さらに歯周病にもかかって、“出っ歯”が進行しがちです。
子供のころからの“出っ歯、上顎前突”は治しておきたいものです。
下顎前突(かがくぜんとつ)※受け口
この受け口は次の開口と並んで、矯正治療にとって、最も困難な、治しにくい状態といえます。
これは、床矯正、従来の矯正治療、ともに治療困難です。
なぜならば、これは、歯並び、あごの成長だけの問題ではなく、骨格的な、さらに遺伝的要素が強いからです。
いくら矯正装置によって、歯を動かしても、いくら、下あごの歯を抜いて、下あごの歯を引っ込めようとしても、すぐに舌の力によって元に戻ってしまいます(後戻り現象)。
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■ 幼児の場合
永久歯が生える前の幼児期のお子さんの場合は、まだ、遺伝的なものはほとんど発現しませんので、ちょっとしたはずみ、噛み合わせ、習慣などで、受け口になっている場合がほとんどなので、それほど、心配はありません。
ただ、お母さん方にお願いしたいのは、そのまま、放置しないことです。
歯科健診などでは、「まだ、乳歯なので、永久歯が生えるまで、様子を見ましょう」と言われることが多いのですが、実際には矯正治療はしませんが、できることはいくつかありますので、そのまま様子を見ていてはいけません。下あごの子供の歯(乳歯)の犬歯が外側に生えてしまい、受け口になっているお子さんをよく見ます。この場合はその外側に生えた歯の先端を少し削ってあげると、噛み合わせが改善されます。
さらに、5歳くらいであれば、パナシールドという口にはめる簡単な矯正装置があり、これをはめると、舌の位置が改善されるため受け口が改善されることもあります。
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■ 小学校低学年
経験上、ご両親のうちどちらかに受け口の傾向があれば、お子さんにも遺伝してくることが多いです。
ただし、この時期は、まだ、受け口っぽい顔ではないですが、楽観してはいけません。 -
■ 小学校高学年
小学校高学年になり、背が伸びるピークが来ると、それと同時に下あごも成長し長い顔になっていく傾向があるのです。
そして、最近のお子さんたちは、ご両親がお二人とも、受け口でなくても、上あごの成長が少ないために、受け口っぽくなってしまうケースもよくみられます。
ただ、この小学校低学年であれば、バイオブロック治療(詳しくはバイオブロック治療の中のRAMPA治療)で上あごの骨を成長させ、受け口を治すことも可能です。
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■ 小学校高学年以上
この時期になると、矯正治療はほぼ困難になります。
歯科大学病院などでは、外科的にあごの骨を切除して、矯正する、外科矯正を行ってはいますが、根本的な治療ではないため、あまりお勧めはできません。
開咬(かいこう)
開咬は上下の歯を噛み合わせようとしても、噛み合わせができず、図のように隙間が空いてしまう状態をいいます。
理由は上下の歯の間に舌が常に入り込んできてしまうため、歯が噛み合わなくなってしまうのです。
受け口(下顎前突)と舌の位置の異常という点で状況的には共通しています。
したがって、矯正治療は一見簡単そうですが、受け口同様、治療は困難です。
床矯正はもちろん、従来の固定式のワイヤーで行う矯正も困難です。
ワイヤーを外せば、また、舌の力で元に戻ります。(後戻り現象)
過蓋咬合(かがいこうごう)
過蓋咬合は噛み合わせ自体はそれほど不自然さはありませんが、笑ったとき上の歯ぐきが見える、ガミースマイルになってしまうことがあります。
これは上あごの骨の成長方向が前方(鼻を高くする方向)ではなく、下方に向かってしまったために起こったのです。
したがって、上あごが成長を始める、小学校低学年のうちに治療を行う、前述の“バイオブロック治療”がたいへん有効になります。上あごの成長方向を前方へ変えられるからです。