矯正装置の種類
もくじ
矯正装置の種類
矯正装置の種類(第5版歯科矯正学 医歯薬出版より)
大きく分類しますと、以下のようになります。
1.器械的矯正装置
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- 1)可撤式矯正装置
- ? 顎内固定装置
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- 床矯正装置
- マウスピース型装置
- ? 顎外固定装置
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- ヘッドギア(上顎顎外固定装置)
- チンキャップ(オトガイ帽装置)
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- 2)固定式矯正装置
- ?顎内固定装置
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- 舌側弧線装置
- 急速拡大装置
- マルチブラケット装置
- ?顎間固定装置
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- 顎間固定装置
2.機能的矯正装置
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- アクチバートル
- バイオネータ―
- 咬合斜面板、咬合拳上板
- 口腔習癖除去装置
器械的矯正装置とは、歯を動かすのに、材料学的特性によって動かすもので、主に金属の弾性を矯正力として応用するものが多いです。
操作の仕方によって矯正力を容易にコントロールする。
一方、機能的矯正装置とは、矯正力を材料学的特性ではなく、患者さん自身の口腔周囲の筋肉の力に依存する矯正装置をいいます。
可撤式矯正装置とは、患者さんが自分で取り外しができるタイプのことで、それに対して固定式矯正装置は患者さん自身で取り外しが出来ないタイプのことです。
顎内固定装置とは、移動する歯の固定源を同じ歯列、同じ顎内に求める装置です。
顎外固定装置とは、頸部、後頭部、顔面部など、顔の一部分に固定源を求める装置です。
ここまで「器械的矯正装置」と「機能的矯正装置」の種類について大まかに解説してきましたが、治療に伴う痛みが気になりますよね。装置の説明だけを聞いていると、いずれもすごく強い痛みが生じそうなものですが、それぞれに特性があり、痛みの度合いも大きく異なります。
そんな矯正治療の痛みについてさらに詳しく知りたい方は「立川の痛くない矯正治療」のページをご覧ください。
床矯正装置
床矯正装置の歴史は古く、19世紀前半から使用されています。
装置の構成は、床部分(プラスティックの)と歯に止めるクラスプ部と拡大するスクリュー部からなります。
クラスプのかかっている歯と、口蓋、下顎歯槽部などの床部のあたっている粘膜部を固定源として弾線、スクリューなどによって矯正力を加え、歯の移動を行う。可撤式の矯正装置であるため、患者さんの協力と定期的な調節が必要です。当クリニックでもっとも多く使用している矯正装置です。
取り外し式の床矯正装置については、装着するタイミングや床が割れたり、装置をなくしたりした場合の対処法など、疑問点も多々あるかと思いますので、詳細については「小児矯正の治療内容や治療装置でよく頂くご質問に関して」の「小児矯正装置について(取り外し式)」の部分を参照ください。一問一答形式で、床矯正に関する疑問にお答えしております。
小児矯正の装置は、複雑な形状をしており、毎日のお手入れにはちょっとした工夫が必要となります。小児矯正装置の汚れやすいところを把握した上で、正しい方法でお手入れしましょう。
そんな小児矯正装置の具体的なお手入れ方法に関心のある方は、「小児矯正装置の手入れについて」のページをご覧ください。床矯正装置を例に挙げて、具体的に解説しております。
マウスピース型矯正装置
マウスピース型の矯正装置を歯列にはめて歯を動かします。
他の矯正装置と比較して、矯正力が弱いため、重度の叢生や噛み合わせの状態によっては適応外となります。使用するマウスピースの数も多くなり、その分費用もかかると言えます。
マウスピース矯正は、ワイヤー矯正とはさまざまな点で異なる治療法です。そもそも使用する装置が根本的に異なるため、本当に歯並びが良くなるのか不安に感じている方もいらっしゃるかもしれませんね。
そんなマウスピース矯正に伴うメリットやデメリット、適応症について詳しく知りたい方は「マウスピース矯正」のページをご覧ください。
ヘッドギア
後頭部固定用のヘッドキャップと口腔内に固定された装置をつなげて使用します。主に上顎の奥歯を後方に下げる目的で使用します。
見た目も目立ちますし、なかなか装着しづらい面もありますので、最近ではあまり使用されません。
チンキャップ
オトガイ部(下あごの先端部)にチンキャップをつけ、頭部のヘッドキャップとの間をゴムで牽引して、下あごの成長を抑えようとする装置。
ヘッドギアと同様、目立ちますし、効果もそれほど見込めないので、最近ではあまり使用されないようです。
舌側弧線装置
奥歯のバンドをはめて固定し、歯の内側にワイヤーを沿わせて歯を動かす装置。表からは見えないので目立ちませんが、バンドは奥歯にずっとつけたままなので、むし歯になりやすいといえます。
歯並びを広げることも可能ですが、床装置ほどは広げられません。
急速拡大装置
固定式の装置で急速に拡大して、上顎の正中縫合を離解させるもので、痛みがあります。
また、装置が口蓋にずっとついたままなので舌の運動には良くないといえます。
マルチブラケット装置
マルチブラケット装置は多数歯にブラケットやチューブを装着し、アーチワイヤーを介して三次元的な歯の移動をさせる装置で、エッジワイズ装置が主流です。
・エッジワイズ装置
この装置は、歯にブラケットといわれるワイヤーがはまる溝(スロット)があり、そこにワイヤーを通して歯を動かしていきます。この方法では、歯の根(歯根)も動かすことができます。
アーチワイヤーは、ニッケルチタンや、ステンレススチールのラウンド(断面の丸い)ものを使用し、徐々に細い口径のものから歯の移動が進むにしたがい、太い口径のものに変えていき、最終段階では、断面が四角の角ワイヤーに変えて歯の位置を調整します。
当クリニックでも、このエッジワイズ装置を、犬歯の位置が悪い時や、舌の位置、状態が良くない時には使用しています。
最近は“見えない矯正”、といって、このブラケットを歯の内側につける舌側矯正も広まっていますが、舌の粘膜を傷つけるなど、舌粘膜への侵襲が大きく、さらに舌が口蓋によくつけられないので、治療後の“後戻り”にもつながりますので、当クリニックでは行っていません。
顎間固定装置
移動する歯や顎に対して上の歯であれば下顎の歯や下顎など対顎が固定源になっている矯正装置で、もぐっている歯を引っ張り出すときや、下顎が前に出ないようにゴムを使用して効果がでます。
アクチバートル
上下の噛み合わせの関係を変えたいときに使用するマウスピース型の装置
口腔周囲に筋肉の力を使って歯を動かす、または歯に伝わる力をコントロールしていくのが特徴です。
ただ、長期間の使用は顎関節に負担がかかるので、勧められません。
咬合斜面板・咬合拳上板
取り外し式の床矯正の装置に前歯の部分(当クリニックでは、小臼歯の部分 )に床(プラスチック製の)の斜面を作り、下あごが前に出やすくする装置
下顎が後ろに下がっているときに使用します。噛む力を利用して、下顎を前に出していきます。
このように、小児矯正で用いる装置にはたくさんの種類があり、形から装着様式、歯や顎の骨にかかる作用などもそれぞれで大きく異なります。当然ですが取り扱い方法も各装置で違いが見られるため、始めは戸惑うかと思いますがすぐに慣れますのでご安心ください。
「小児矯正装置の取り扱いについて」のページでは、取り外し式(床矯正装置)と固定式の装置に分けて、取り扱い方法や注意点を細かく解説しておりますので、関心のある方はチェックしてみてください。