妊婦歯科健診について
もくじ
はじめに
妊娠期の歯科健診の目的は大きく分けて2つあります。
・ 妊娠期のお口の中の管理ならびに、治療
・ 生まれてくる赤ちゃんへの準備
女性は出産、子育てによって歯が弱くなる、歯ぐきが悪くなる、といわれてきました。現場で臨床歯科医として30年以上にわたり、治療をしてきた経験からみると、確かにそれは間違いではないと感じます。
“お口の中の管理”とは、妊娠期はホルモンの変化で歯肉が症を起こしやすく、もともと歯周病の方は重症化しやすいため、管理が必要なのです。
詳しくは妊娠中の口の中の変化についてへ。
また、つわりのひどかった方は、胃液によって歯が溶かされ、むし歯が発生、進行している場合もあります。食事の時間も不規則になりやすく、お口の中の環境も悪くなり細菌も増えています。
このように、歯周病、むし歯の進行などのリスクが高まるため、歯科健診は大切です。
さらに、妊娠時でも、安定期(5~8カ月)では歯科治療が可能(後期、9カ月以降でも必要があれば行います)ですから、受診する時期も、安定期に入ったら「すぐ」がいいでしょう。
一方、妊娠期に赤ちゃんの歯もつくられていて、なんと、最初につくられる乳歯の前歯は胎生7週めから、永久歯も胎生3カ月から歯胚(歯のたまご)が形成されます。
そして、赤ちゃんのお口の中の環境、むし歯や歯肉炎の有無はお母さんのお口とほぼ一致する、ともいわれています。
したがってこの時期(妊娠期)に歯科健診を受診されることは、妊娠中のお母さまのとっても、生まれてくる赤ちゃんにとっても、とても大事な事といえます。
妊婦歯科健診の内容
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1. 妊娠期のお口の中の管理ならびに、治療
2. 歯周病の有無
3. その他、自覚症状(しみる、痛いなど)のあるところのチェック
4. 治療が必要かどうかの判定
5. 赤ちゃんのむし歯予防、口腔機能の発達に関するアドバイス
1. むし歯の有無は、レントゲンは撮影しないので、実際の所見で判断します。食べ物がよく挟まったり、探針(先の尖った器具)で引っかかるところは要注意です。
2. 歯周病の有無については、通常の場合、歯周病かどうかはレントゲンを撮影して判定しますが、時期的に撮影できないので、位相差顕微鏡によって実際に歯周病菌の有無を調べます。
この位相差顕微鏡は当クリニック独自のもので、その場ですぐに、しかも保険治療費以外、費用はかかりません。(※ただし、妊婦歯科健診から即日保険治療に移行しますので、保険治療の一部負担金はかかります。)
3. その他、自覚症状のあるところ、とくに、“冷たいものがしみる”、“咬むと痛い”また、自覚症状の無いところもチェックします。親知らずも、痛くなりやすいところなので必ず診るようにしています。
4. これらを踏まえて治療必要かどうかご説明しています。一般的に歯周病の場合は程度の有無にかかわらず、歯石を取り除き、歯に着いた着色もとり、さらには歯周治療も行っています。(位相差顕微鏡による歯周病菌の有無の確認もできるだけ行っています。)
とくに、重度の歯周病の場合、早産や低体重児出産につながるリスクがありますので、歯周病治療は必須です。
詳しくは妊娠時の歯周病は早産低体重児のリスクが約7倍へ。
むし歯も、妊娠時は通常時とほぼ変わりなく行っています。
麻酔も少なくし、時間をかけてよく効かせて、痛みの少ない治療を行っています。
詳しくは妊娠期の歯科治療についてへ。
親知らずも、上あごの場合は比較的簡単に抜け、しかも術後の痛み、腫れもほとんどみられないため、行うことが多いです。
一方、下あごの親知らずは術後の痛み、腫れが大きいだけでなく、抜くのも時間と手間がかかり、母体のご負担をかけるリスクがありますので、ほとんど行っておりません。
5. 赤ちゃんのむし歯予防、口腔機能の発達に関するアドバイス
生まれてきた赤ちゃんは、幼児期になると、ほぼお母さんのお口の中の状態と同じになります。
さらに、最近、この10年はとくに、子どもたちのお口の発達が遅れ、歯並びも悪くなっています。それについてのアドバイスも行なっております。
立川市妊婦歯科健診についてこちらもお読みください。
妊娠期のお口の状態
妊娠期には歯周病に罹っていなくても、もともとお口の清掃状態が良くないと、歯肉の発赤、腫脹がみられます。そして、もともと歯周病がある場合はさらに、重篤化し、軽くはみがきをしただけでも、出血してしまいます。
これは女性ホルモンが関与しているからです。
詳しくは女性ホルモンと歯周病との関係へ。
さらに女性のための口腔ケア12条もおすすめです。
さらに、元々のむし歯も進行していますので、“出産後に治そう”と考えていますと、出産後は赤ちゃんのお世話でとてもご自身の事まで手が回らなくなってしまい、受診が1年後くらいになってしまい、神経が残せる歯も残せなくなってしまいます。
とにかく、赤ちゃんが生まれる前に、ご自身のお口の中の状況を把握し、行える歯科治療は行っておくことをおすすめします。
*実際に妊婦歯科健診を受けるには?
立川市妊婦歯科健診
以下の3つをお持ちください。
・立川市妊婦歯科健康診査受診券
・母子健康手帳
・健康保険証
お腹の赤ちゃんの歯の発育
赤ちゃんの歯の発育段階(主な歯)
☆乳歯(前歯)
胎生7週から作られ始め、出生時にほぼ歯冠(歯の頭の部分)ができて、生えてくるのは、生まれて8~10カ月。
☆乳歯(奥歯)
胎生8~10週から作られ始め、出生時には歯冠のちょっとができて、生えてくるのは1歳半~2歳半。
☆永久歯(前歯)
胎生3カ月から作られ始め、歯冠完成が2~3歳、生えてくるのが6~7歳ということは、この妊娠時に歯の頭の部分(歯冠)が作られている大事な時期といえます。
そして、最近よくお子さまの歯の表面が白く濁っている、エナメル質形成不全症が増えてきていますが、この妊娠期のお母様の体調なども影響していると考えられますが、現在のところはっきりとした原因はわかっておりません。
できることとしましては、バランスの良い食生活と体調の維持管理、気持ちのゆとりを持っていくこと、などでしょうか。
食生活に関しましては良い歯の赤ちゃんにするには?へ。
赤ちゃんの歯について、出産までに知っておくこと
出産後は日々の育児で忙しく、全く余裕がないと思います。
赤ちゃんの歯について、お口について、以下、知っておきたい事を挙げてみました。
・母乳の飲ませ方
・おっぱいが多く出る場合の対処法
(良くおっぱいが出るのは、良い事ですが、赤ちゃんのお口の機能発達の点で問題があります)
・離乳食のあげ方
・卒乳の時期(お口の機能発達に良い時期)
・歯(乳歯)の生える時期
・初めての歯のみがき方
・指しゃぶりについて
・歯並びを良くするには?
・むし歯菌の感染について
・お口のけがの対処法
これらは、あらかじめ知っているといないのでは、たいへんな違いがあります。
とくに、舌の機能、飲み込み、咀嚼など、0歳から1歳にかけて学習し、習得していくもので、学童期に歯並びが重なってくるお子さんは、この3つの機能の習得が出来ていない状況、さらにそれに口呼吸が伴うケースが多く見られます。
ですから、“子育て”はマイナス1歳から、とよくいわれますが、この妊娠期から始まっているといえるでしょう。
妊娠期の歯科治療
“痛みを少なく!”“ストレスを少なく!”が基本です。
治療時に痛みを感じにくくするだけでなく、丁寧な説明と、状況に合わせた個別対応(予約を早めにとるなど)をしております。
詳しくは妊娠期の歯科治療(立川のマタニティー歯科)へ。
・歯周病治療
・クリーニング、歯石除去
・むし歯治療
・矯正治療
・簡単な抜歯
出産後の歯科治療
出産後はほぼ、通常の歯科治療を行っております。
ただし、授乳中の場合、授乳中のお母様には、極力麻酔の量を少なくし、ご心配をかけないように注意しています。
可能であれば、出産後1カ月くらいの受診が望ましいです。
スタッフ子育て体験談
スタッフも、妊娠、出産を体験し、その実際の体験をブログとして書いてもらいました。
ぜひ、ご参考にされてください。
詳しくは子育てと歯科/妊婦歯科健診受診のすすめへ。
立川の近藤歯科クリニックは、お子様方のために、立川で最も信頼できる小児矯正治療をする歯科医院として、今後もスタッフ一丸となり全力で、皆様方のお役に立てるように頑張ってまいります。
細かいこと、何でもお気軽にご相談ください。